【初心者向け】市街化調整区域に建てられるもの|家や店舗を新築する3つの方法

相続した土地が市街化調整区域にあって、家を建てられない……。そんな悩みもよく耳にします。

実は、正しい手順と条件を理解すれば、一般住宅や店舗を新築できる方法があります

市街化調整区域での建築は原則として制限されますが、「分家住宅」や「線引き前宅地での建替え」など、自治体の開発許可を得ることで実現できる特例的な措置があるのです。

この記事では、あなたの土地の状況や目的に合った建築方法を見つけるための具体的な条件や手続きを、初心者の方にも分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

市街化調整区域でも建築は可能!許可の要否でわかる建物一覧

市街化調整区域だからといって、建物の建築を諦める必要はありません。

大切なのは、あなたの計画に自治体からの「開発許可」が必要かどうかを正しく理解することです。

許可が不要な小規模なものから、許可を得て建てる本格的な建物まで、可能性はいくつか存在します。

まずはご自身の計画がどちらに当てはまるのか、この先の解説で確認していきましょう。

開発許可が原則不要な建築(農林漁業施設・車庫・物置など)

まず考えられるのは、都市計画法で定められた一定の条件を満たす、比較的規模の小さい建物です。

これらは地域の生活や産業に不可欠と判断されるため、原則として開発許可の手続きを経ずに建築が認められています。

例えば、既存の住宅に付属する車庫や物置、あるいは床面積が10平方メートル以内(約6畳)の増改築であれば、許可は不要です。

ご趣味のDIYのための小さな工房を母屋の隣に建てるといった計画も、この範囲であれば実現しやすいでしょう。

ただし、これらの建築物も自治体の条例によっては別途届出が必要な場合があります。

計画を立てる前に、土地がある市町村役場の担当窓口へ相談することをおすすめします。

自治体の開発許可を得て建築可能な建物(一般住宅・店舗など)

ご自宅の新築や店舗の開業など、より本格的な建築計画には、都道府県知事や市長から「開発許可」を取得する必要があります。

これは、その建築計画が無秩序な市街化につながらず、周辺環境との調和がとれているかを審査する手続きです。

この許可を得るためには、自治体が定める基準を満たさなくてはなりません。

例えば、周辺住民のためのコンビニを建てる場合、福島県では「申請地を中心とする半径500m以内に50戸以上の人家があること」などが具体的な立地基準として定められています。

開発許可の手続きは複雑で、費用や時間もかかりますが、この許可を得ることで建築の可能性は大きく広がります。

相続した土地に家を建てたいというあなたの目標も、この方法で実現できるかもしれません。

【目的別】市街化調整区域に家や店舗を新築するための主な方法

市街化調整区域にある土地の活用方法は、決して一つではありません。

ご自身の目的や土地の状況に合わせて、どのような可能性があるのかを知ることが大切です。

特に、ご親族のため、ご自身のため、あるいは地域のためといった目的によって、選べる道筋が異なります

ここでは、代表的な4つの方法について、目的や主な要件を比較しながら見ていきましょう。

これらの方法は、いずれも自治体による許可が必要です。

まずはご自身の土地がどのケースに当てはまる可能性があるのか、見当をつけるところから始めてみませんか。

親族が住むための分家住宅の新築

ご両親などが市街化調整区域に長年住んでいて、その土地を譲り受けて家を建てたい、という場合に検討できるのが「分家住宅」です。

これは、「『線引き』(市街化区域と市街化調整区域に分けること)が行われる前からその区域に住んでいる世帯の親族が、土地を譲り受けて建てる一般住宅」を指します。

この制度は、あくまでその地域に生活基盤を置く世帯のための例外的な措置です。

そのため、全く無関係の第三者が土地を新たに購入して家を建てることは認められません

ご自身がこの条件に当てはまるかどうかは、土地活用を考える上で最初に確認すべき重要なポイントとなります。

もしご自身がこの「分家住宅」の条件に該当するかもしれないと感じたら、土地がある市町村の都市計画課などの窓口で相談してみてください。また、以下の記事により詳しい情報を掲載しています。

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線引き前宅地・既存宅地での建替えや新築

お持ちの土地が、昔から家が建っていた場所であれば、新築や建替えの道が開ける可能性があります。

これは「市街化調整区域に指定される前から、すでに宅地として利用されていた土地」であることが条件で、「線引き前宅地」や「既存宅地」と呼ばれます。

この場合、以前に建っていた建物と全く同じ規模でなくても、許可が得られるケースがあります。

自治体の基準にもよりますが、従前の建物の延べ面積の1.5倍以内であれば、建替えが認められることが多いです。

ただし、そのためには、その土地が昔から宅地であったことを公的な資料で証明しなくてはなりません。

過去の土地の状況を調べるには専門的な知識が必要になるため、土地家屋調査士や行政書士といった専門家に相談するのが確実な方法です。

周辺住民のための店舗(コンビニ等)の開業

市街化調整区域は居住者が少ないと思われがちですが、ある程度の集落が形成されている場所も少なくありません。

そのような場所では、「その地域に住む人々の日常生活に役立つ店舗など」であれば、地域貢献につながるとして建築が許可される場合があります。

ただし、誰でもどこでも店舗を開けるわけではありません。

自治体ごとに厳しい立地基準が定められています。

例えば、「市街化区域から道なりに1km以上離れていること」や、「半径500m以内に50戸以上の家があること」といった具体的な条件をクリアする必要があります。

ご自身の土地の周辺環境を調査し、これらの基準を満たせそうであれば、事業計画を立てて自治体に相談する価値は十分にあります。

相続した空き家のリフォームによる用途変更

もし相続した土地に古い建物が残っている場合、その建物を活かすという選択肢もあります。

それが「用途変更」です。

これは、「既存の空き家をリフォームして、レストランや宿泊施設など別の目的で利用すること」を指し、近年の空き家問題に対応するために基準が緩和される傾向にあります。

この制度を利用するには、建物の状態に関する条件があります。

例えば、「築50年以上の伝統的な建築物で、1年以上空き家であること」などが許可の目安となることがあります。

ただ単に建物を再利用するだけでなく、地域の観光振興に貢献するなど、公益性のある計画であることが求められます。

ペルソナであるあなたのようにDIYや古い家具の修復がご趣味であれば、ご自身のスキルを活かして古民家カフェや工房を開く、といった夢も実現できるかもしれません。

建築計画を進めるための手続きと注意点

市街化調整区域での建築計画を実現するためには、煩雑な手続きと想定外の費用を事前に把握しておくことが最も重要です。

ここを乗り越えなければ、せっかくの計画も進めることができません。

具体的な手続きの流れから、注意すべきポイントまで順を追って解説しますので、一つひとつ確認していきましょう。

開発許可と農地転用の手続きの流れ

市街化調整区域で建物を建てる際に中心となるのが「開発許可」です。

これは、都市計画法に基づき、自治体から「この場所で開発行為(建物の建築など)を行っても良い」という許可を得る手続きを指します。

さらに、土地の登記簿上の地目が「田」や「畑」などの農地の場合、建物を建てるためには農地転用の許可もあわせて取得しなければなりません。

開発許可と農地転用では審査される基準が異なるため、両方の条件を満たす必要があります。

これらの手続きは専門的な知識を要するため、多くの場合、行政書士などの専門家に依頼して進めることになります。

申請に必要な費用と期間の目安

開発許可の申請には、手数料だけでなく測量費や設計費など、多岐にわたる費用が発生します。

申請手数料や設計・測量、専門家への報酬などを合わせると、総額で100万円以上の費用がかかることも珍しくありません。

期間も、自治体への事前相談から許可が下りるまで半年以上を見込んでおくのが一般的です。

計画段階でこれらの費用をしっかりと予算に組み込んでおくことが、後々の資金計画を円滑に進めるための鍵となります。

上下水道・ガスなどのインフラ整備と浄化槽の設置

市街化調整区域は、市街化区域と比べて生活インフラが整っていないケースが多く、上下水道やガス管が土地の前面道路まで来ていないことがよくあります。

下水道が未整備の場合、トイレの排水などを処理するために浄化槽の設置が義務付けられます。

浄化槽の設置には、本体価格と工事費でおよそ100万円前後の費用が必要です。

上水道やガス管を前面道路から敷地内へ引き込む工事にも、別途費用がかかります。

事前にインフラの状況を調査し、整備費用を正確に見積もりましょう。

2022年法改正後の災害リスクの確認義務

近年、頻発する自然災害に対応するため、2022年の都市計画法改正で災害リスクの高いエリアでの開発が厳格化されました。

この法改正により、浸水想定区域や土砂災害特別警戒区域などは、原則として開発が許可されなくなっています。

建築を検討している土地が、自治体のハザードマップでどのような区域に指定されているか、必ず事前に確認する必要があります。

例外的に建築が認められる場合でも、建物の高床化や地盤の嵩上げといった安全対策が許可の条件となります。

固定資産税の負担と融資の可能性

土地や建物を所有すると、毎年固定資産税の支払い義務が発生します。

市街化調整区域の土地は評価額が低い傾向にありますが、建物を建てて宅地になると税額が上がります。

また、建築資金の融資については、金融機関が担保価値を低く評価する傾向があるため、審査が厳しくなるのが一般的です。

ただし、開発許可の見込みが立っている物件などであれば、地方銀行や信用金庫が相談に応じてくれるケースも増えています。

建築後の維持費である固定資産税と、建築前の資金調達の両面を考慮して、無理のない計画を立てることが大切です。

市街化調整区域とは?建築が原則制限される理由

相続した土地に家を建てられないと知り、途方に暮れていらっしゃるかもしれません。

なぜ市街化調整区域では、原則として建物の建築が制限されるのでしょうか。

その理由は、無秩序な市街化を防ぎ、計画的な街づくりを進めるためです。

この区域の目的を理解することが、土地活用の第一歩となります。

市街化調整区域と、建物を建てやすい市街化区域には、以下のような根本的な違いがあります。

このように、市街化調整区域は自然環境や農地を守るための大切な役割を担っています。

だからこそ厳しい建築制限が設けられていますが、そのルールの中にも、あなたの土地を活用できる可能性は残されています。

無秩序な市街化を抑制するための区域という位置づけ

市街化調整区域とは、簡単に言うと「街の急激な拡大を抑え、自然や田畑を守るためのエリア」です。

もし何のルールもなければ、郊外の農地や山林に次々と住宅や工場が建ってしまいかねません。

そうなると、道路や水道、学校といったインフラの整備が追いつかなくなります。

また、日本の食料を支える優良な農地が失われることにもつながるのです。

市街化調整区域は、こうした事態を防ぐための「防波堤」のような役割を果たしています。

この区域があるおかげで、私たちは緑豊かな環境を保ちながら、計画的に整備された街で暮らすことができるのです。

市街化区域との根本的な違い

一方で、市街化区域は「今後約10年以内に、優先的かつ計画的に街づくりを進めていくエリア」と定められています。

駅の周辺や幹線道路沿いなど、すでに市街地になっている場所や、これから住宅地や商業地として発展させていく場所が指定されます。

市街化区域では、用途地域(「ここは住宅を建てる地域」「ここは商業施設を建てる地域」といったルール)が定められており、そのルールに沿っていれば建物の建築が可能です。

市街化調整区域が「守り」のエリアだとすれば、市街化区域は「攻め」のエリアと言えます。

この二つの区域をセットで定めることで、都市全体のバランスの取れた発展を目指しているのです。

建築制限の根拠となる都市計画法

こうした建築に関するさまざまなルールの根拠となっているのが、「都市計画法」という法律です。

この法律は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的としています。

都市計画法に基づき、都道府県がそれぞれの街の将来像を描き、市街化区域と市街化調整区域の線引きを行っています。

平成12年の法改正により、都市計画に関する権限は国から地方公共団体へ大きく移されました。

そのため、建築に関する細かいルールは、土地がある自治体の条例によって異なる場合が多いのです。

この都市計画法で市街化調整区域の建築が原則として制限されているからこそ、建物を建てる際には自治体からの「開発許可」という特別な許可が必要になります。

よくある質問(FAQ)

そもそも、なぜ市街化調整区域では自由に建物を建てられないのですか?

市街化調整区域は、都市計画法という法律によって「街が無秩序に広がるのを防ぎ、田畑や自然環境を守るため」に定められたエリアだからです。

道路や水道といったインフラ整備を計画的に進める目的もあり、原則として建物の建築が厳しく制限されています。

親から相続した土地に、自分の家を新築することはできますか?

いくつかの条件を満たせば、一般住宅を新築できる可能性があります。

例えば、ご両親などが区域指定前からその土地に住んでいて、その親族であるあなたが土地を譲り受けて家を建てる「分家住宅」という制度があります。

また、その土地が昔から宅地として使われていたことを証明できる「線引き前宅地」であれば、建替えや新築が許可されることもあります。

大規模な家は無理でも、趣味のDIYで使う小さな物置や車庫なら建てられますか?

はい、既存の母屋に付属する車庫や物置であれば、開発許可が不要で建築できるケースが多いです。

また、床面積が10平方メートル(約6畳)以内の増改築であれば、原則として許可は必要ありません。

ただし、自治体によっては届出が必要な場合もあるため、事前に役所の担当窓口へ確認しましょう。

開発許可の手続きには、どれくらいの費用と期間がかかりますか?

開発許可の手続きは専門的な知識が必要で、時間と費用がかかる点がデメリットです。

期間は自治体への事前相談から許可が下りるまで半年以上、費用は申請手数料のほかに測量費や設計費、行政書士への報酬などを合わせると総額で100万円以上になることも珍しくありません。

土地の地目が「畑」なのですが、家を建てるには特別な手続きが必要ですか?

はい、必要です。

土地の地目が「田」や「畑」などの農地の場合、建物を建てるためには開発許可とは別に、農地を宅地などに転用するための「農地転用許可」を取得しなければなりません。

開発許可と農地転用の両方の基準を満たす必要があり、手続きはより複雑になります。

最近、災害リスクに関する規制が厳しくなったと聞きましたが、どのような点に注意すればよいですか?

2022年の法改正により、浸水想定区域や土砂災害特別警戒区域といった災害リスクの高いエリアでは、原則として開発が許可されなくなりました。

建築を計画している土地がハザードマップでどのような区域に指定されているか、必ず事前に確認してください。

例外的に許可される場合でも、建物の高床化といった安全対策が条件となります。

まとめ

市街化調整区域では原則として建物の建築はできませんが、この記事で解説したように、正しい条件と手続きを理解すれば一般住宅や店舗などを新築する方法があります

あなたの土地がどの条件に当てはまる可能性があるかを確認し、まずは自治体の都市計画担当窓口へ相談することから始めてみましょう。

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